アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが書いた世界的名作『星の王子さま』について詳しくご紹介していきますね。
この作品は1943年に発表されて以来、200以上の国と地域の言葉に翻訳されている不朽の名作です。
読書感想文を書く予定の皆さんの力になれるよう、短くて簡単なあらすじから詳しいあらすじまで、丁寧に解説していきますよ。
登場人物の紹介や読書感想文のポイントなども用意しましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
読書が大好きで、年間100冊以上の本を読む40代の本の虫の私におまかせください。
『星の王子さま』の短くて簡単なあらすじ
『星の王子さま』の中間の長さのあらすじ
『星の王子さま』の詳しいあらすじ
サハラ砂漠に不時着した「ぼく」という飛行士は、ある朝、どこからともなく現れた金髪の少年と出会う。この少年は小惑星B-612からやってきた「星の王子さま」と名乗った。
王子さまの星は家ほどの大きさで、そこには三つの火山とバオバブの木、そして一輪のバラの花があった。バラとの行き違いから旅に出た王子さまは、六つの星を訪れ、そこでさまざまな大人たちに出会う。国王、自惚れ屋、酒飲み、実業家、点灯夫、地理学者――どれも大人の奇妙さや愚かさを象徴する出会いだった。
地球に着いた王子さまは、まず数千本のバラがある庭を見つけて失望するが、キツネとの出会いで「仲良くなる」ことの本当の意味を学ぶ。キツネは「大切なものは目に見えない」という秘密を教え、王子さまは自分のバラの花が特別な存在であることを理解する。
飛行機の修理に奮闘する「ぼく」と王子さまは徐々に打ち解けていくが、王子さまは自分の星に帰る決心をする。ヘビの毒を借りて肉体を離れ、星へと帰っていった王子さま。
残された「ぼく」は、夜空を見上げるたび、無数の星々の中に王子さまの笑顔を感じるのだった。
『星の王子さま』の作品情報
『星の王子さま』の基本情報をまとめてみました。
この表を見れば、作品の概要がひと目でわかりますよ。
作者 | アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ |
---|---|
出版年 | 1943年 |
出版社 | 岩波書店、新潮文庫、角川文庫など |
受賞歴 | 特になし |
ジャンル | 哲学童話・寓話 |
主な舞台 | サハラ砂漠とさまざまな小惑星 |
時代背景 | 第二次世界大戦中 |
主なテーマ | 友情、愛、人生の本質、大人と子どもの視点の違い |
物語の特徴 | 象徴的な表現と深い哲学的メッセージ |
対象年齢 | 子どもから大人まで |
『星の王子さま』の主要な登場人物とその簡単な説明
『星の王子さま』には個性豊かなキャラクターがたくさん登場します。
それぞれの特徴や役割を理解することで、物語をより深く味わうことができますよ。
人物名 | キャラクター紹介 |
---|---|
星の王子さま | 物語の主人公。小さな星からやってきた金髪の少年。純粋な心と鋭い洞察力を持つ。 |
パイロット(「ぼく」) | 語り手であり、砂漠に不時着して王子さまと出会う飛行士。子ども時代は絵を描くことが好きだった。 |
バラの花 | 王子さまの星に咲いた高慢だけれど愛すべき花。王子さまが特別に思う存在。 |
キツネ | 地球で王子さまと出会い、「仲良くなる」ことの意味と「大切なものは目に見えない」という真理を教える。 |
王さま | 最初の星で出会った、すべてを支配したいと願う独りぼっちの王。 |
うぬぼれ屋 | 二番目の星の住人。賞賛されることだけを求める。 |
酒飲み | 三番目の星にいる、飲むことを忘れるために酒を飲むという矛盾した人物。 |
実業家 | 四番目の星にいる、星を数えることに夢中な人物。所有することに執着している。 |
点灯夫 | 五番目の星にいる、命令に忠実に従い続ける勤勉な人物。 |
地理学者 | 六番目の星にいる、実際に探検せず机の上だけで仕事をする学者。 |
これらの登場人物たちは、それぞれが人間社会や大人の世界の一面を象徴しています。
王子さまとの対比を通じて、私たちの社会や価値観について考えさせてくれる存在ですね。
『星の王子さま』の文字数と読むのにかかる時間
『星の王子さま』はそれほど長い物語ではないので、短時間で読み終えることができますよ。
以下の表は、読書の計画を立てる際の参考にしてください。
推定文字数 | 約96,000文字(160ページ/新潮文庫) |
平均的な読了時間 | 約3時間12分(500文字/分として計算) |
1日1時間読んだ場合 | 約3日で読み終える |
1日30分読んだ場合 | 約6日で読み終える |
読みやすさ | シンプルな文体で読みやすい |
『星の王子さま』は文章が平易で読みやすく、内容も興味深いので、読書が苦手な方でも取り組みやすい作品です。
短くて簡単な物語ですが、その中に深いメッセージが詰まっていますよ。
『星の王子さま』の読書感想文を書くうえで外せない3つの重要ポイント
読書感想文を書く際には、作品の核心となるテーマを理解することが大切です。
『星の王子さま』には特に押さえておきたい重要なポイントがありますので、以下にご紹介しますね。
- 目に見えないものの大切さ
- 子どもと大人の視点の違い
- 人間関係と「仲良くなる」ことの意味
これらのポイントを中心に感想文を展開すると、深みのある内容になりますよ。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
目に見えないものの大切さ
物語の中で最も印象的なメッセージのひとつが、キツネが王子さまに教えた「大切なものは、目に見えない」という言葉です。
この言葉は、現代社会における物質主義や表面的な価値観に対する問いかけとなっています。
目に見える形や数ではなく、愛情や信頼、思い出といった目には見えない絆こそが人生において本当に大切だと教えてくれるんですね。
王子さまがバラとの関係を通じて学んだように、時間をかけてお互いを理解し、心を通わせることで生まれる特別な関係性が、この物語の核心です。
感想文では、この「目に見えないもの」についてあなた自身の経験や考えと結びつけて書くと、説得力のある内容になりますよ。
例えば、大切な友達や家族との思い出、心の絆について触れてみるのもいいでしょう。
子どもと大人の視点の違い
この物語の冒頭で、「ぼく」は子ども時代に描いた「帽子に見える象を飲み込んだウワバミ」の絵を大人たちに理解してもらえなかった経験を語ります。
この場面は、子どもの想像力豊かな視点と、現実的で固定観念にとらわれがちな大人の視点の違いを象徴しています。
王子さまが訪れた星々の奇妙な大人たちも、それぞれが「大人の世界」の問題点や矛盾を表現しているんですよ。
サン=テグジュペリは、この対比を通じて「大人になるということ」の意味を問いかけています。
本当の意味で「成長する」とは何か、「子どもらしさ」の中にある純粋さや想像力の大切さについて考えさせられますね。
感想文では、自分自身の成長過程や、大人と子どもの視点の違いについての気づきを書いてみるといいでしょう。
人間関係と「仲良くなる」ことの意味
物語の中で、キツネは王子さまに「仲良くなる」ことの意味を教えます。
「仲良くなる」とは単なる知り合いになることではなく、お互いを特別な存在として認め、時間をかけて絆を育むこと。
キツネが言うように、「あなたが私を手なずければ、私たちはお互いに必要な存在になる」のです。
この考え方は、現代の忙しい社会の中でともすれば希薄になりがちな人間関係について、深く考えさせてくれます。
王子さまとバラの関係も、このテーマと深く結びついているんですね。
初めは高慢で気まぐれに見えたバラも、王子さまが時間と愛情を注いだからこそ、特別な存在になったのですから。
感想文では、自分の人間関係について振り返り、誰かとの「特別な関係」がどのように築かれてきたか、そしてそれがどれほど大切なものかについて書いてみるといいでしょう。
※作者が『星の王子さま』で伝えたいことは、以下の記事で考察しています。

『星の王子さま』の読書感想文の例(原稿用紙3枚強/約1300文字)
私がこの本を手に取ったのは、先生に「世界中で愛されている名作だよ」と薦められたからだった。最初は子供向けの絵本かと思っていたが、読み進めるうちに、この物語が単なる童話ではなく、深いメッセージを含んだ哲学的な寓話であることに気づいた。
特に印象に残ったのは、キツネが王子さまに語った「大切なものは、目に見えない」という言葉だ。この一見シンプルな言葉の中に、現代社会を生きる私たちへの重要なメッセージが込められていると感じた。私たちは日常的に、目に見える成果や物質的な豊かさを追い求める。でも、本当に大切なのは、友情や信頼、愛情といった目には見えない絆なのではないだろうか。
例えば、私には幼稚園からの親友がいる。十年以上の付き合いになるが、彼女との友情は形のないものだ。しかし、キツネの言う「仲良くなる」過程を経て、私たちはお互いにとって特別な存在になった。SNSで数百人の「友達」がいても、本当の意味で心を通わせられる友人は数えるほどしかいない。それこそが、王子さまがバラとの関係で学んだことなのだろう。
また、物語に登場する様々な大人たちの描写も興味深かった。国王、自惚れ屋、酒飲み、実業家、点灯夫、地理学者—それぞれが現代社会の問題点を象徴している。彼らは自分の小さな世界に閉じこもり、本当に大切なものを見失っているように思えた。特に実業家が星を「所有する」ことに執着する姿は、今の社会で物や情報を「持つこと」に価値を置く私たち自身の姿を映し出しているようだ。
この物語を読んで最も考えさせられたのは、「大人になる」とはどういうことかという問いだ。物語の冒頭で「ぼく」が子供の頃に描いた「象を飲み込んだウワバミ」の絵を大人たちが理解できなかったエピソードは、大人になるにつれて失われていく想像力や純粋さを象徴している。大人になるということは、単に年齢を重ねることではなく、責任を持ちながらも、子供のような好奇心や想像力を失わないことなのかもしれない。
王子さまがキツネと別れる場面も心に残った。「別れるのが悲しい」と言う王子さまに、キツネは「でも、あなたが私を手なずけてくれたから、麦畑が金色に輝くたびにあなたを思い出せる」と答える。この言葉には、別れや喪失という避けられない人生の出来事に対する、美しい向き合い方が示されている。失うことを恐れて心を閉ざすのではなく、思い出を大切にしながら前に進む勇気の大切さを教えてくれる。
最後に、物語の結末で飛行士が夜空を見上げるたび、星々の間に王子さまの笑顔を見出す場面は、失ったものとの繋がりが完全に断ち切られるわけではないことを示している。目に見えなくても、心の中で大切に思い続けることで、その絆は永遠に続くのだ。
『星の王子さま』は、一見するとシンプルな童話のように見えるが、その背後には深い人生の真理が隠されている。現代の複雑で忙しい社会の中で見失いがちな、本当に大切なことを思い出させてくれる作品だ。この物語を読んで、私は自分の人間関係や価値観を見つめ直すきっかけを得た。これからの人生で、目に見えない大切なものを忘れず、王子さまのように純粋な心と探究心を持ち続けたいと思う。
『星の王子さま』はどんな人向けの小説か
『星の王子さま』は幅広い年齢層に愛される物語ですが、特に以下のような方々におすすめですよ。
- 人生の本質や大切なものについて考えたい方
- 複雑な現代社会の中で心の豊かさを求めている方
- 子どもの純粋な視点と大人の価値観の違いに興味がある方
- 短くても深い内容の物語を読みたい方
- 読書感想文の課題図書として取り組む学生さん
この物語は表面的には童話のような形をしていますが、その本質は深い哲学的なメッセージを含んでいます。
子どもは物語の冒険を楽しめる一方で、大人は人間関係や社会についての洞察に気づくことができるのが特徴的。
何度読み返しても新たな発見があり、年齢や経験によって感じ方が変わる不思議な魅力を持った作品ですね。
※『星の王子さま』の面白さや魅力はこちらの記事で解説しています。

『星の王子さま』に似た小説3選
『星の王子さま』を読んで感動した方には、似たようなテーマや雰囲気を持つ作品もおすすめです。
ここでは特に相性の良い3つの作品をご紹介しますね。
『モモ』ミヒャエル・エンデ
『モモ』は、時間泥棒から人々の大切な時間を守ろうとする少女モモの物語です。
『星の王子さま』と同様に、現代社会の価値観や生き方に対する問いかけが含まれています。
特に「時間をかけることの大切さ」や「心の豊かさ」というテーマは、『星の王子さま』のキツネが教えた「仲良くなる」ことの意味とよく似ていますよ。
純粋な子どもの視点から大人の世界を見つめる点も共通しています。

『愛をみつけたうさぎ』ケイト・ディカミロ
『愛を見つけたうさぎ』(原題:The Miraculous Journey of Edward Tulane)は、高慢なうさぎの人形が様々な出会いと別れを通じて、本当の愛を学んでいく物語です。
王子さまがバラとの関係を通じて特別な絆の大切さを学ぶように、うさぎのエドワードも旅を通じて心を開いていきます。
「失うことを恐れずに愛すること」の大切さを教えてくれる点が『星の王子さま』と共鳴しますね。
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
『銀河鉄道の夜』は、不思議な銀河鉄道の旅を通じて、主人公ジョバンニが友情や死、生きることの意味について考える物語です。
『星の王子さま』と同様に象徴的な表現や幻想的な世界観が特徴で、深い哲学的なテーマを持っています。
特に「目に見えない絆」や「大切な人との別れ」というモチーフは、『星の王子さま』の結末部分にも通じるものがありますよ。

振り返り
今回は『星の王子さま』のあらすじや重要なポイント、読書感想文の書き方まで幅広くご紹介しました。
短くて簡単に読める物語でありながら、「大切なものは目に見えない」という深いメッセージを持つこの作品は、70年以上経った今でも世界中で愛され続けています。
読書感想文を書く際には、「目に見えないものの大切さ」「子どもと大人の視点の違い」「人間関係と仲良くなることの意味」という三つのポイントを中心に考えてみてくださいね。
この物語から学んだことを自分の言葉で表現することで、きっと素晴らしい読書感想文が書けると思います。
『星の王子さま』の世界を通じて、私たちが日常で見落としがちな「本当に大切なもの」について改めて考えるきっかけになれば幸いです。
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