村上春樹の『鏡』を読んだあとは、大半の人が「何がいいたい話なんだろう?」と疑問に思うはず。
私がはじめて『鏡』を読んだのは高校生の頃でした。
当時は文学部の図書委員をしていて、ある日、図書室の本棚を整理していた時に出会いました。
その瞬間から私は『鏡』の世界にすっかり魅了されてしまったんです。
この記事ではそんな『鏡』が伝えたいことを中心に読み解いていきましょう。
村上春樹『鏡』が伝えたいこと
まずは村上春樹の『鏡』が私たちに伝えたいことを以下の4つのポイントに分けて解説します。
- 自分自身と向き合うことの大切さ
- 他人と自分の理想のギャップ
- 他人と比較する虚しさ
- 自己を見つめ直す勇気を持とう
自分自身と向き合うことの大切さ
まず『鏡』が私たちに伝えたい一番大切なメッセージは「自分自身と向き合うことの大切さ」だと私は考えています。
主人公は鏡の中の自分に出会い、そこで恐ろしい体験をします。
でもこれって私たちの日常生活でもよくあることじゃないでしょうか?
たとえば、スマートフォンのインカメラで自撮りしようとした時に、思わぬ角度で自分の顔が映ってドキッとした経験はありませんか?
そうなんです。
私たちは普段、自分の理想とする姿しか見ようとしていないのかもしれません。
他人と自分の理想のギャップ
次に『鏡』が伝えたいのは「ギャップ」についてです。
主人公は大学進学を拒否して放浪の旅に出ます。
これって、みなさんも経験したことがありませんか?
「こうあるべき」という周りの期待と「こうありたい」という自分の理想の間で悩んだ経験。
私も高校生の時、理系に進むべきか文系に進むべきか、すごく悩みました。
結局、周りの期待を裏切って文系に進んだんです。
他人と比較する虚しさ
『鏡』には「若者が抱える不安と葛藤」も描かれています。
主人公は60年代末という時代の中で生きています。
でも、今を生きる私たちにも通じる部分がたくさんあるんです。
たとえば、SNSで見る「輝かしい他人の人生」と自分を比べてしまうこと。
私も以前、友達のインスタグラムを見ながら「私の人生って、このままでいいのかな」って考え込んでしまったことがあります。
自己を見つめ直す勇気を持とう
最後に『鏡』が伝えたいのは「自己を見つめ直す勇気」です。
主人公は最後に木刀で鏡を割ってしまいます。
これって、自分から逃げ出すことを意味するんでしょうか?
いいえ、違います。
むしろ、自分と向き合う勇気を持った瞬間なんです。
私はこう考えています。
鏡を割るという行為は、これまでの自分の殻を破るということ。
新しい一歩を踏み出す決意の表れなんですね。
村上春樹『鏡』から学ぶ人生の教訓
『鏡』から学べる教訓の活かし方について、以下の4つのポイントにまとめてみました。
- 自分を見失わない大切さ
- 他人の期待に振り回されない強さ
- 恐れと向き合う勇気
- 変化を受け入れる柔軟さ
自分を見失わない大切さ
『鏡』が教えてくれる一つ目の教訓は「自分を見失わない大切さ」です。
たとえば、就職活動中のとき。
周りの友達が次々と内定を獲得していく中で、焦って自分に合わない企業を受けてしまうかもしれません。
でも、そんな時こそ立ち止まって自分と向き合うことが大切なんですね。
他人の期待に振り回されない強さ
二つ目の教訓は「他人の期待に振り回されない強さ」です。
例えば、親が医者になってほしいと願っているけど、自分は音楽家になりたい。
そんな時、どうすればいいでしょうか?
『鏡』は、そんな時のヒントをくれます。
大切なのは他人の期待に応えることではなく、自分の心に正直になること。
恐れと向き合う勇気
三つ目の教訓は「恐れと向き合う勇気」です。
例えば、プレゼンテーションが苦手な人。
でも、それは単なる「苦手意識」かもしれません。
『鏡』は教えてくれます。
恐れから逃げるのではなく、その恐れの正体を見極めることの大切さを。
変化を受け入れる柔軟さ
最後の教訓は「変化を受け入れる柔軟さ」です。
人は誰でも変化します。
昨日の自分と今日の自分は、少しずつ違います。
その変化を恐れるのではなく、受け入れる柔軟さが必要なんですよ。
村上春樹『鏡』で多くの人が抱く疑問点
『鏡』を読んで多くの人が抱く疑問を以下の4つにまとめました。
- なぜ主人公は鏡に映る自分を怖がったの?
- 鏡を割ったことには、どんな意味があるの?
- なぜ主人公は大学進学を拒否したの?
- 最後の言葉にはどんな意味が込められているの?
なぜ主人公は鏡に映る自分を怖がったの?
これは私も最初に抱いた疑問です。
実は鏡に映る自分は「本当の自分」の象徴なんですよ。
普段、私たちは自分の都合のいい部分しか見ようとしません。
でも、鏡は容赦なく全ての姿を映し出します。
それが怖かったんですね。
鏡を割ったことには、どんな意味があるの?
鏡を割るという行為。
一見、現実逃避のように見えますよね。
でも、私はそうは考えません。
むしろ、自分の殻を破って新しい一歩を踏み出す決意の表れだと思うんです。
なぜ主人公は大学進学を拒否したの?
この疑問も多くの人が持つはずです。
60年代末という時代背景が関係していると私は考えています。
当時は学生運動が盛んな時代。
「既存の価値観」への反抗を示しているんですね。
最後の言葉には、どんな意味が込められているの?
最後の
人間にとって、自分自身以上に怖いものがこの世にあるだろうか
という言葉。
ここには深いメッセージが込められています。
つまり、私たちが本当に恐れるべきは、幽霊でも怪物でもない。
自分自身の内なる闇なんですね。
村上春樹『鏡』の印象は読む前と後でこう変わる!
『鏡』の印象は、読む前と後でがらりと変わります。
以下の3つのポイントで解説します。
- 単なるホラー作品だと思っていたのに…
- 難解な小説だと思っていたのに…
- 自分には関係ない話だと思っていたのに…
単なるホラー作品だと思っていたのに…
最初は「ちょっと怖い話」として読み始める人が多いはずです。
私もそうでした。
でも読み進めていくうちに、これは深い人間ドラマだということに気づきます。
難解な小説だと思っていたのに…
村上春樹の小説って、難しそうですよね。
私も最初はそう思っていました。
でも『鏡』は違います。
むしろ、私たちの日常に潜む「恐れ」を描いた作品だったわけです。
自分には関係ない話だと思っていたのに…
「60年代の学生運動なんて、今の私には関係ない」
そう思って読み始める人も多いはずです。
でも読み終えると、今を生きる私たちにも通じる普遍的なテーマが描かれていることに気づきます。
村上春樹『鏡』を一言で表現すると?
私は『鏡』を一言で表現するなら「内なる自分との対話」だと思います。
なぜなら、この物語は単なる怪奇現象を描いたものではないから。
私たち一人一人が持っている「もう一人の自分」との出会いを描いた物語なんです。
振り返り
ここまで『鏡』について深く考察してきました。
改めて重要なポイントをまとめてみましょう。
- 鏡は自己と向き合うための装置
- 恐れの正体は自分自身
- 変化を受け入れる勇気の大切さ
- 理想と現実の狭間で揺れる若者の姿
- 普遍的なテーマを持つ現代の寓話
『鏡』は、私たちに多くのことを教えてくれる作品です。
あなたも、もう一度『鏡』を読んでみませんか?
きっと、新しい発見があるはずです。
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